054−055
(羊の頭蓋骨を頭につけて、はしゃいで喜ぶジョル)
「羊がみんな死んだでしょ、その骨で帽子を作ったんだ!」
(父親のように真顔で起こるギャツァ)
「早く家に戻りなさい!」
「いやだ! うちに戻っても眠れないもん!」
(ギャツァ、ジョルを家の方向へ押しだそうとする)
「夜は危険だ! 眠れないなら、人の話でも聞いていなさい!」
(ギャツァがジョルの肩を抱いて、連れ帰ろうとしたとき、遠くから笛の音が聞こえた)
ピー!
(ギャツァ、必死の形相で大声を張り上げる)
「ついに来たぞ!」
(テントへ向かって駆けるギャツァ)
「総監どの!」
(テントの前でギャツァ、叫ぶ)
「総監どの、ご無事ですか!」
(最長老である総監が家族に両側から支えられ、起き出してくる)
「なに、心配するに及ばんよ」(と総監)
(呆然とするギャツァと総監ら。手前に殺されたヤク)
「これはいったいどうしたことだ!?」
(震えながらうつろな目で語る長老の総監)
「わしの目の前でヤクの様子が急変したんじゃ……」
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