062063 

(ギャツァとジョルが立つところへトトンが近寄る)

「おまえたち、ここで何をしているのだ?」

(ジョルの姿を見てトトンは心の中でいぶかしく思った)

「この子はどうして全身血まみれなんだ?」

(トトン、自分の馬が死んでいるのを発見)

「ややっ、おれの馬が!」

(トトン、ジョルをにらみながら考えた)

「こいつは4年前、毒を盛った怨みを晴らそうとしているのか」

(トトン、大きな声で叫ぶ)

「だれか来てくれ! この極悪のガキを捕まえてくれ!」「家畜殺しの犯人がここにいるぞ!」

(嘲笑するトトンの顔)

「今度ばかりはくたばる運命にあるようだな」

(村人全員が集まり、サークルを成している。その中央にトトンがいて、拳を握って力説している)

「幸い、わが駿馬、玉佳馬は無事だった。しかし馬殺しには違いない。ここでこのガキを処刑しようぞ」

(ジョルは後ろ手に縛られ、全身を縄でぐるぐる巻きにした状態で草の上におかれている。不安げなジョルの表情。村人たちがひそひそ話をしている)

「そんなこと子供にできるのかしら。なんか事情があるのかしら」

「トトンさまが見たとき、この子は全身血まみれだったそうよ。家畜の血かしら」

「そもそもこの子の母親は、外の世界から来た妖怪って話でしょう。善悪がわからないのもその血のせいかしら」


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