68−69
(ギャツァの刀が、トトンの刀をはばんだ。あやうくジョルの首に当るところだった)
「お、お兄ちゃん……」
(トトンが声を荒げて抗議する)
「自分の子はかばわないと言ったではないか」
(ギャツァは厳しい顔で言う)
「事情がはっきりしないうちは、指一本触れさせないぞ」
(ジョルとギャツァの父であるセンロンが加勢する)
「トトンよ、ジョルはおまえの甥だ。よくもまあ殺そうとするものだ」
(くやしがるトトン)
「憎きはギャツァ。覚えておけよ」
(母メトラツェが駆け寄る。父センロンもそばに寄る)
「お母さんが来たからね。もう大丈夫よ」
(ジョル、甘えた表情)
「お母さん、ぼく大丈夫だよ」
「ジョル、おまえにもしものことがあったら、私も生きていけないわ」
(ざわついている村人たちに向って最長老の総監が落ち着かせようとする)
「みなの者、静かに。われらは全員リン部落の者だ」「真相が明らかにならないうちに、だれも罪を……」
⇒ NEXT