070−071
(遠くで馬を連れた男が大声で叫んでいる)
「牛を殺したのはジョルだ! わが娘ドゥクモは殺すところを見ていたのだ!」
キャロ(嘉洛) *キャロは部落名だが、ここでは姓。正確にはキャロ・トンパ・ギェルツェン。ケサルの王妃となる美少女ドゥクモの父親。
(キャロがやってきて主張する)
「ジョルが牛を殺したのは絶対まちがいない」
(センロンの親子3人は不安そうに見る)
(トトンもとまどっている)
「われキャロは、でたらめは言わない!」
(トトンは下を見て、落ち着いているふうを装う)
「ギャツァよ、おれはこんなことしたくはないのだ……」
(トトンは目をあげ、にらみつける)
「だがおまえはおれの邪魔ばかりしておる」
(トトンは刀を抜いて、一振り。もう少しでギャツァを斬るところだった)
「おれをとがめるなよ!」
(ギャツァ、飛び上がってトトンに襲い掛かる)
「この愚か者め」
(ギャツァの横顔)
「死を賜うとしよう」
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