072−073
(ギャツァの刀がトトンの刀に当り、カーンという音を発する)
「そこまでじゃ、やめよ!」
(そう叫んでやめさせたのは、長老の総監だった)
「殺し合ったところで何の解決にもならぬ!」
(戦っているギャツァとトトン、ジョル、メトラツェはハッとして動きをとめる)
「わしはもう決めた。竜女とジョルはリン部落にとどまるのは不可能である。すぐに出て行ってもらおう」
(冷静になったトトンが訴えるように言う)
「総監どの、虎を山に放てば、禍根を残すことになりましょう。今一度、考えてみてください」
(真剣な面持ちの総監)
「ジョルが牛を殺したところをドゥクモが見たのは、たしかである。もしそうでないなら、わしはみなに申し開きができないことになる」
ピュー。
(沈黙。風の音だけが聞こえる)
(センロンが人々の間をかきわけてメトラツェとジョル母子を通す)
「さあ、みんなどいて」
モー。
(後ろから白ヤクがついてくる)
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