094−095
(草地に立つ蓮華生大師。その前には倒れた悪党たち)
「おまえたちは」
(蓮華生大師の顔のアップ)
「白テント王(ホル王)のところへ戻って、事の次第を報告し、ホルで誠実に暮らすといい。きよらかなリン部落や黄河上流はどれも、おまえたち粗野な者どもがいる場所ではない」
(死にもの狂いで走って逃げる悪党たち)
「われら一言たりとも逃さず国王に伝えます!」
(母子と竜王の対面)
「ジョル、おじいさんと呼びなさい」(メトラツェ)
「おじいさん、あんたすごいね!(ジョル)
「ジョルもすごいじゃないか。魔王の尖兵をやっつけたと聞いたぞ」
(メトラツェ、うつむく)
「でもそのために追い出されることになったのです」
(堂々とした竜王)
「おまえたちに罪がないことは、わしはよう知っておる。安心せよ」「わしがおまえたちにかわって、いますぐ怨みを晴らしてこよう」
(そこへ蓮華生大師がふたたび顔を出す)
「怨みを晴らすのもいいが、時期尚早である。四年待ちなさい」
「大師、これもあなたの管轄なのか」(竜王)
(メトラツェ、ことゴモは納得していない)
「おかしいわ、たしか」
「もし神殿に行ったら、四年は四日のことではなかったかしら」
(蓮華生大師は考える)
「天命に逆らうことはできない。しかしこのたびは介入してしまった。おまえは同情心を覚えてしまったのか」
(蓮華生大師はかがみこんでジョルと話す)
「いいだろう? 彼らはもう何年か気ままに過ごすことになる」
(蓮華生大師、さらに顔を接近して話す)
「黄河上流地域は土地が肥沃でとても美しいところだ。どうだ、お母さんといっしょにそっちで暮らすのは」
「え?」(母子はその意味がよくわからない)
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