098−099
(ジョル、疲れてしゃがみこむ)
「戻ってきたわよ!」(母親の声)
(母ゴモ、ことメトラツェが馬を連れて登場)
「お母さん」
「大師、この馬どうかしら」
(連れてきた赤馬は駿馬には見えない)
「私が欲していたのは、万里をひと跳びするような宝馬である。この馬は貧弱に見えるが?」
「この馬もそんなに悪くないわよ」
(蓮華生大師、ムッとする)
「そんなに悪くない、とは何だ! もういちど探してきなさい!」
「は、はい」
(メトラツェ、遠くを見ながら嘆息する)
「センロンやギャツァやみんなは、どうしているのかしら」
リン部落
ピュー、ピュー(と寒風の音)
(村全体が雪に閉ざされている)
蓮華生大師が雪の中に立ち、呪文を唱えている。
「こうして助けようとしても、なお耐えきれないほどの寒さだわい」
さらに呪文を唱え、念力を送る大師。
「あとどれだけ我慢ができるだろうか」
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