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「この部落の存亡がかかっているのです! わが弟のどこがいけないのか」(ギャツァ) 

「あいつは悪魔よ!」(と少女)

「わたしは競馬大会の勝者のものとなるのよ」(笑うジョルを思い浮かべながら少女は話す) 

「あの悪魔のところへ行って奴隷になれというの?」(少女、必死の形相)

「ジョルは悪魔などではない! あの晩見たものは誤解なのだ」(とギャツァはジョルを擁護する)

ゴホッ(センロンの咳) 

「競馬のことから説明しようか……」(センロン) 

「だれでも栄冠を勝ちえることは知っておるだろう」「勝者はあんたを連れて帰ることになる」(センロン)

(少女、犬、うつむき加減)

「当然です。リン部落の第一の勇士が英雄と呼ばれるのです」

(勝ち誇ったような表情のセンロン)

「そうとはかぎらんのだ! 競馬で勝つためには、人よりも馬がよくなくてはだめだ」

「いい馬がなければ勝てんのだ」

(うなだれて小さくなる少女と犬)

「いまのところリン部落で一番速い馬はトトンの玉佳馬だ」「つまりは栄冠をつかむのは」

(少女、ハッとする)

「まちがいなくトトンなのだ」


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