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(うずくまる少女ドゥクモに、センロンとギャツァがたたみかけるように言う)

「お嬢さん、トトンがどんな男かご存じですか? つい最近も、頭が人間で体がネズミという怪物に変身して大騒ぎになりました」(ギャツァ) 

「もしあなたがトトンのもとに嫁入りしたら、きっと面白い生活を送ることになるでしょう」(センロン)

(獣に襲われる姿を想像する少女)

「ウグ……」

(犬を抱いたまま、少女わめく)

「いやあ、トトンになんか嫁ぎたくなーい!」

「ジョルから土地を借りることが肝要。あんたも競馬の賞品になるなどいやだろう」(センロン) 

「ジョルはわが弟。かの地に移住したあと、あんたはジョルといっしょになる必要もない。わたしが保証しよう」(ギャツァ)

「ほんとう?」(ドゥクモ)

(フッフッと笑うセンロンとギャツァ)


リン上部の総監のテント 

(そのテントのなかで男たちが話し合う声が聞こえる)

「この件に関してキャロどのよ、もしいやならわれらが娘さんを連れ戻しましょう」

「いやいや、リン部落に貢献するのはわがキャロ家の誉れ」

(テントの中。火を囲って坐る男たち)

「どうも合点がいかないのは、娘が行くのを同意するどころか、喜んで行こうとしていることです」(ドゥクモの父、キャロ) 

フッフッフッ……(笑うセンロンとギャツァ)

「どうであれ、これはよい機会じゃ」(長老の総監)

「そのとおりでございます」(まじめそうな表情のキャロ)

「ハハハ」「ハハハ」笑い声。


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