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(数人の男が群衆をどかせようとしている)

「さあ、あけた、あけた」「トトンさまのお坊ちゃまのおなりだ!」 

(おべっか使いの男たちに導かれてやってきたのは、太っちょのトトンの子) 

「お坊ちゃま、こちらへどうぞ」(おつきの男) 

「ほんとに活気があるなあ」(トトンの子) 

(男が馬を用意する) 

「お坊ちゃま、さあどうぞ、馬にお乗りください」 

「そりゃいいな!」 

(しかし太りすぎなのか、男たちがトトンの子を馬の上に押し上げようとするが、なかなか乗れない) 

(あぶみを踏み外す) 

(地面に激突) 

「あいたたたー」(トトンの子) 

「お坊ちゃん、お坊ちゃん」(おつきの男たち) 

(涙目のトトンの子) 

「いてえー」(トトンの子) 

(トトンの子、顔を真っ赤にして怒る) 

「だれだ、笑うのは! どうせ父上が競馬で勝つのだ。そしたらおれはリンの王子になるのだぞ!」 

「騒がしいやつだな」(遠くから眺めているギャツァ)「それにしてもジョルは遅いな」 

(群衆はギャツァの姿を見て声を上げる。後方でドゥクモが様子をうかがっている) 

「ギャツァさまだ!」「ギャツァ将軍だ!」(群衆) 

「あたしゃトトンさまが好きだね」(群衆のなかのおばさん) 

「どんな趣味してんだね」(ほかのおばさん) 

(心配そうな顔のドゥクモ) 

「ジョル……」「いったい何をしているの……」(ドゥクモ) 


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