168−169
(数人の男が群衆をどかせようとしている)
「さあ、あけた、あけた」「トトンさまのお坊ちゃまのおなりだ!」
(おべっか使いの男たちに導かれてやってきたのは、太っちょのトトンの子)
「お坊ちゃま、こちらへどうぞ」(おつきの男)
「ほんとに活気があるなあ」(トトンの子)
(男が馬を用意する)
「お坊ちゃま、さあどうぞ、馬にお乗りください」
「そりゃいいな!」
(しかし太りすぎなのか、男たちがトトンの子を馬の上に押し上げようとするが、なかなか乗れない)
(あぶみを踏み外す)
(地面に激突)
「あいたたたー」(トトンの子)
「お坊ちゃん、お坊ちゃん」(おつきの男たち)
(涙目のトトンの子)
「いてえー」(トトンの子)
(トトンの子、顔を真っ赤にして怒る)
「だれだ、笑うのは! どうせ父上が競馬で勝つのだ。そしたらおれはリンの王子になるのだぞ!」
「騒がしいやつだな」(遠くから眺めているギャツァ)「それにしてもジョルは遅いな」
(群衆はギャツァの姿を見て声を上げる。後方でドゥクモが様子をうかがっている)
「ギャツァさまだ!」「ギャツァ将軍だ!」(群衆)
「あたしゃトトンさまが好きだね」(群衆のなかのおばさん)
「どんな趣味してんだね」(ほかのおばさん)
(心配そうな顔のドゥクモ)
「ジョル……」「いったい何をしているの……」(ドゥクモ)
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