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 しかしトラキアに帰還したとき、音楽家は神々から攻撃を受けることになる。彼は精霊エウリュディケと恋に落ちる。婚礼のとき、草のなかで仲間の精霊と踊っていたエウリュディケは蛇に噛まれ、死んでしまう。

 悲しみに打ちひしがれたオルフェウスは、浜辺でひとり波に向かって哀歌をうたっていた。そして最終的に彼は魔術師のもとを訪ねる決心をする。

 魔術師はエピュラの町の近くの洞窟に住んでいた。オルフェウスは彼女に、花嫁ともう一度いっしょになることはできないものかと懇願した。魔術師は彼を助けると請け合った、ただし有料で。彼女はオルフェウスを洞窟の奥に座らせ、生贄の儀礼を開始した。霊薬を彼にわたし、まじないを唱えた。彼女の声は石の壁によく響いた。松明の火が彼女の目の中に反射して光った。

 それらが終わって、彼女は門を指さした。「これが地下世界への入り口です」と魔術師は言った。「ハデスに降りていってエウリュディケを探しなさい。そしてこちらの世界にいっしょに戻ってきなさい」

 霊薬によってオルフェウスは睡眠のようなトランス状態に陥った。まるで身体から精神が分裂したように感じた。身体は地面にばったりと倒れた。身体を残したまま、彼は入り口から中へ歩を踏みだした。

 目の前には急勾配で、輝く階段があった。オルフェウスはゆっくりと歩を進めはじめた。こうして彼は地球の奥底へと降りていった。


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