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哲学者という天職についてアポロニオス自身に語ってもらおう。彼とダミスはローデス島を訪れた。そびえたつヘリオス神の巨像を見あげながらダミスは言った。「これより偉大なものがあるだろうか」
「ありますよ」アポロニオスは言った。「正直に、成実に智慧を探求する真実の男がそうです」
そのような男は、哲学者の鑑(かがみ)というべきテュアナのアポロニオス以外にいなかった。
興味深い事実はピロストラトスが彼を魔術師として描いていることだった。彼は超常的な現象をアポロニオスに帰している。それは預言、エクソシズム(悪魔祓い)、奇跡的なヒーリング、よみがえり、突然の消失、アキレスの霊との出会いなどである。ピロストラトスはどれほどたくさんダミスの日記から情報を得ているだろうか。どれだけが偽書といえるだろうか。賢者の生涯に伝説的な要素はどれだけ含まれているだろうか。これらは不明瞭なままである。(ほとんどが偽書である可能性もある) いずれにせよ、魔術師としてのアポロニオスの描写は、彼を取り巻く論争を引き起こしたことに対し責任があるだろう。また彼の名声に泥を塗ることになるだろう。
彼の生涯の魔術師的な面に対する批判を以下に挙げたい。
弟子たちが描く(アポロニオスの生涯は)伝説的すぎて、彼が賢者なのか、詐欺師なのか、狂信者なのか、わからなくなってしまう。(歴史家エドワード・ギボン)
たんなる伝奇物語に対して真正面から論じたり、想像力の産物に対し真剣に論じたりするのは野暮なことと考えねばならない。(ニューマン枢機卿)
セヴェラン朝の熱狂的かつ宗教的な雰囲気の中で、驚くべきものではあるが、例外的ではない。一世紀のピタゴラス主義者の教師をニューエイジの聖者に変えたとしても驚きではない。(翻訳家クリストファー・ジョーンズ)
神智学者でありブラヴァツキー夫人の秘書でもあったG・R・S・ミードの著書末尾の言葉で締めくくりたい。
アポロニオスは結局ならずものだったのか、トリックスターなのか、詐欺師なのか、狂信者なのか、見当違いののぼせやすい男だったのか、それとも哲学者なのか、改革者なのか、自意識の強い活動家なのか、本当の新参者だったのか、地上のもっとも偉大なる者のひとりだったのか。これらが彼のことと言えるかどうかは、それぞれ当てはまるかどうかで考えなければならない。
個人的には、私はアポロニオスに敬意を表したい。そして喜んであるがままの彼から学びたい。
*注釈
註1:G・R・S・ミード (略)
註2:ギリシア・ローマに広がったアスクレピオス寺院は…… (略)
註3:ピタゴラスは…… (略)
註4:手、目、頭の動きで…… (略)
註5:ピタゴラスはエジプトを訪ねた…… (略)
註6:ダミスは日記を…… (略)
註7:オスカー・ワイルドの答えが…… (略)
註8:ピロストラトスは…… (略)
註9:彼らが上昇したのか下降したのか…… (略)
註10:食べ物や飲み物は…… (略)
註11:賢者は実際に空中浮揚したのか…… (略)
註12:彼は魂について語る…… (略)
註13:皇帝の中には彼を黙らせようとした者も…… (略)
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