(2)

 ある日使者が到着した。使者自身の弁によると、妖精の女王ファンドの使いだという。そして病気はファンドによってもたらされたという。もし彼がティル・ナン・オグのファンドの国にまで来てくれるなら、治療をして差し上げましょうという女王の申し出を伝えた。

 友人の戦士たちは話し合いをした。そして彼はティル・ナン・オグへ行くべきだと決定し、彼らは彼を馬に乗せた。窓からその様子を見ていたエメルは祈りながら泣いていた。使者は人間を載せた馬を要塞から出した。

 夜が深まる頃、使者は妖精の丘に着いた。彼は手を打ち、正門を開けた。馬を門から中に入れ、彼は穴の道を下っていった。前かがみになりながら、クー・フーリンはブツブツひとりごとを言った。パカパカという蹄の音が道の中にこだました。

 ようやく彼らはティル・ナン・オグに到着した。彼らを牧場で待っていたのは深紅の衣の女――女王ファンドだった。彼女はクー・フーリンに自己紹介し、彼女の国に来たことを歓迎した。

 そして女王が彼に触れると、病気はまたたく間に治った。青ざめた顔もつやを取り戻し、元気がよみがえった。彼は馬に乗り、勝利の叫びをあげた。アルスターの英雄はもとのように彼自身だった。

「わたしと生きていきましょう。わたしの夫になってください」とファンドは言った。

 クー・フーリンは――彼女の美しさのとりこになり――結婚の申し出を受け入れた。

 ファンドは彼を宮殿に連れていった。そこで彼は天界の音楽を聞いた。妖精の美酒を飲み、ごちそうを食べた。「これこそまさにおれのためのものだ」とクー・フーリンは言った。そして彼らは恋人同士になった。そして一か月がたった。(クー・フーリンは時間の感覚を失っていたけれども)

 彼は短期間、要塞に戻ることはできないだろうかと女王にたずねた。彼はティル・ナン・オグで暮らす決心を固めていた。そしてそのことを妻と戦士たちに知らせようとした。彼が自分のもとにかならず戻ってくると約束してくれたので、ファンドはしぶしぶ一時帰還を許した。彼女は地上世界の入口まで彼を送った。

 


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