(3)

 要塞に到着したクー・フーリンは熱狂的に迎えられた。戦士たちは彼のまわりに集まり、歓声を上げ、背中を叩いた。エメルも涙を流しながら彼を抱擁した。そして一日中宴と祝福がつづいた。

 しかし一日の終わりに彼は自分の考えをあきらかにした。すぐにティル・ナン・オグに戻ろうとしていること、妖精の女王とそこで居を構えることを告げたのである。

 エメルはどん底に突き落とされた。彼に思いなおすよう懇願した。しかしクー・フーリンは聞く耳を持たなかった。彼はティル・ナン・オグがどれだけ魅力的か説明した。妖精の美酒、不安のない世界であること、永遠の若さの約束などについて語った。そして女王ファンドを称賛した。彼女は聖なる存在だと彼は言った。

 ファンドの名が出たとたん、妻は激怒した。「わたしは彼女とおなじくらい善良な女よ!」とエメルは叫んだ。そして女王が新鮮なのも今のうちよ、と予言めいたことを言った。「新しいものは輝いて見えるわ」彼女は言った。「でもすぐに色あせて、あきてしまうものよ。それにあなたは妻を侮辱しているわ。アルスターの女はみんなわたしを笑っているのよ!」

 しかしクー・フーリンは聞こうとしなかった。決意は固いと彼は言った。朝にティル・ナン・オグに戻るつもりだった。

 エメルは怒りの叫び声をあげた。そして自分の部屋に閉じこもった。そこで彼女はよく考え、自分なりの結論に達した。

 


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