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 エクスプローラー号には破氷のための蒸気を動力とする舵輪がついていた(シムズによれば南極の穴の周囲は<氷の輪>に囲われていた)。船の構造は予想される厳しさに対処するために強化されていた。また鉄の釘は建造されるとき使われなかった。使われたのは木の釘と銅のボルトだけだった。というのも極地の海には巨大な磁石が聳え立っていると信じられていたからである。「わたしは捜索船シンドバッド号の災難をよく覚えている」とシーボーンは書いている。「船が磁力の強い山に近づくと、すべての鉄が引き寄せられ、バラバラになってしまった」

 このように準備万端整え、エクスプローラー号は南極へ向かって航行した。アザラシはそれほど多くなかった。船が地図にない海域に入っていくと、乗組員たちはしだいに反抗的になっていった。しかしシーボーンは希望を捨てなかった。

 

 わたしはシムズ船長の本に書かれている意見に賛成である。つまりアザラシ、クジラ、サバは地球内部から両極の穴を通ってやってくるのだと。実際のところ、両極の穴に近づけば近づくほど、アザラシやクジラがふんだんに見られるようになった。

 

 そしてついに喜ばしい発見がなされた。大陸が発見されたのである。しかも海岸はアザラシだらけだった! シーボーンは旗を立て、この地がアメリカ合衆国のものであると宣言した。乗組員たちの同意を得て、彼はこの大陸をシーボーンズ・ランドと名付けた。それはのちにアンタークティカ(南極大陸)として知られるようになるのだが。選ばれた乗組員の一部はここに残された。基地を築き、アザラシを狩るためである。

 そしてエクスプローラー号は秘密の目的地へ向かって出帆した。

 


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