(7)

 日射時間はしだいに少なくなっていった。空の太陽の道は軌道から離れていった。コンパスは役に立たなくなり、あちこちで回転しているようだった。この現象にシーボーンは興奮気味だったが、乗組員たちはおびえた。そのうちのひとりは言った。あたかも船は地にあいた穴に落ちていっているようだと。

 実際、そうなっていた。船は南極の穴に入り、下方へ、すなわち地球内部へ向かって航行していた。

 航行していくに従い、島がはっきり見えてきた。

 

 われわれはちょうど夕暮れ時に陸地を発見した。そしてすぐに、陽の光があるうちに一定の距離を保って沖合を進んだ。わたしは夜の間ずっと甲板の上を歩き回った。朝が来るのが待ち遠しかった。朝になれば地球内部の世界の驚異があきらかになるだろう。そして理性のある存在が住んでいるかどうかが問題となるだろう。

 

 朝、上陸チームの一行は陸地に上がり、そこに人が住めないという結論に達した。亀や海鳥を助けたくらいだった。しかし難破した船が見つかった。それは彼らがいままで見たことのあるものとまったく異なる<風変わりな大型船>だった。シーボーンにとっては、難破船は内側の世界に人が住んでいることを強く示しているように思われた。

 ふたたびエクスプローラー号は海を走った。太陽は一日の四分の一しか出ていなかった。黄昏時、日が沈んでいくと、残照が弱りながら海面に反射した。そのとき乗組員たちは恐怖に襲われた。まもなく完全な暗闇に船は包まれてしまうのではないかと。またしても反乱の噂がささやかれはじめた。

 檣頭(しょうとう)から叫び声が聞こえてきた。「おーい、出帆だ!」見張り人が遠くに船影を見つけたのである。エクスプローラー号は追跡を始めた。スピードを上げたにもかかわらず、船は大型船を捕らえることができなかった。それは水平線の向こうに消えてしまった。

 太陽が沈み始めたころ、またも叫び声が聞こえてきた。「おーい、陸地だ!」

 どんな災難が待ち受けているかわからないので、船はゆっくりと進んでいった。双眼鏡で海岸を調べながら、シーボーンは建物や動くものを探した。彼は興奮を隠すことができなかった。

 わたしはまさに願っていたゴールに達しようとしていた。新しい世界や未知の人々との交わりを開始しようとしていた。外側の世界(地上)のうぬぼれた死すべき者(人間)に、無限の多様性と奥深い神のすばらしいみわざを賞賛する根拠を示そうとしていた。
 わがイマジネーションは火がついたようにかきたてられていた。わが心は誇りではちきれそうだった。わが名は歴史の銘板上の輝かしい不滅の場所に、あるいは名声の殿堂のもっとも目立つ段の上にとどめることができそうだった。

 


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