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 彼らははてしなく広がる沈黙のなかに立った。積み重なりながら隆起しているのは何十万もの座席だった。すなわち評議会を構成するワーシーズのための席だった。プラットフォームがこれら座席に囲まれていた。そしてこのプラットフォームに最高人のための席がひとつあった。もうひとつのプラットフォームには500人のオーケストラのためのイスと譜面台があった。スルイの説明によれば、会議開催ごとに聖なる音楽が演奏され、静かな祈りが唱えられるという。オーディトリーは政府の所在地であり、寺院の所在地でもあった。評議会にとって、ここは至高の存在を前にして慎重に考える場だった。

 翌日シーボーンは最高人と面会することになった。最高人の質素な邸宅の庭でふたりは会った。国のトップに歓迎されたシーボーンは彼の率直で気取らない態度のおかげで心の重荷が取れたように感じた。スルイの通訳で彼らは会話をすることができた。

 最高人は彼にどこから来たのかと聞いた。シーボーンは自分の国は地上にあると答えた。最高人は、人間はどうやって太陽光を直接浴びて平気なのかと驚きを隠せなかった。

 さらに最高人は、なぜ地球の内側で探検をしているのかと問うた。

 

 わたしが探検をはじめた動機は、自然の働きの知識をもっと広げたかったからである。加えて、危険に満ちた航海を請け負ったのは、自然界の摂理に反し、この巨大な地球が役に立たない砂と石のかたまりにすぎないのか、それとも(シムズのような)賢き人々が考えるとおりに、中も外も居住可能な、入れ子式の箱のような同心球なのか、確かめたかったからである。

 

 シーボーンは他にも動機があったことについては話さないようにつとめた。つまり探索から得られる経済的利益には触れなかった。というのも彼はすでにシムゾニアの高潔さを知っていたので、そのようなことを明らかにしても、反感と軽蔑を呼び覚ますだけだったのだ。

 ほかのこともまた同様に問題があった。

 

 (最高人は)地上世界の政府形態、宗教、習慣、意見、人々の実践について知りたいと表明した。それらについてわたしは話す気にならなかった。もし真実を話したら、彼に不快な思いをさせてしまうことになるのを知っていたのである。

 

 シーボーンは政府の人間が自分たちの昇進のためにどんな方法を用いるか何も言わないように気をつけながら、アメリカの政府形態について手短に説明した。是認してくれるだろうと見込んで、彼はかつて賢き人が大統領になったと話した。しかし最高人は恐れの感情を抱いたようで、シムゾニアでは賢き人々の影響をできるだけ抑えているのだと述べた。なぜなら、彼らが実行しないことにかけては右に出る者がいないという評判があったからである。

 地上人の習慣に関して、シーボーンはもっとも美徳を備えた、洗練された個人の話だけにとどめた。しかし彼らが動物肉を好み、アルコールを愛することを話すと、最高人はひどく驚いたようだった。そのような有害な、嘆かわしいことをつづけているのはなぜなのか、しかも地上の人種が滅んでいないのはどうしてなのか、というわけである。

 


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