地球内部への旅 16
オラフ・ヤンセン
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ウィリス・ジョージ・エマーソン(1856-1918)はロサンジェルスの銀行家であり、小説家だった。彼のフィクション(『隠された谷の宝』や『相棒と私』など)は今日ではほとんど忘れ去られている。しかし事実報告として1908年に刊行された著作はずっと論争を引き起こしてきた。この『霞たる神、あるいは地球内部の世界への航海』はオラフ・ヤンセンの物語である。
エマーソンはこの著作について「オラフ・ヤンセンという者が語った比類なき体験についての真実の記録」と述べている。彼の主張によれば、ある夜、年長の隣人に呼ばれたという。死の床でヤンセンはこの小説家に、若い頃の大洋の航海について話した。ヤンセンは彼に原稿を――航海の記録を――託した。そしてそれを出版する約束を取り付けた。
エマーソンが言うには、彼は義務を感じ、死にゆく男に対しての約束を果たしたのである。彼は原稿を編集し、前言とあとがきを書き、彼自身の出版社であるフォーブス&カンパニーにゆだねた。オラフ・ヤンセンの航海の物語はこうしてついに陽の目を見たのである。
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