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 物語は1829年春、漁師のノルウェイ人親子が小さなスループ船で出航するところからはじまる。オラフと父親はいつもどおりに漁に出たのだが、それは発見の航海となった。彼らはふと衝動的に、北風の向こうの地――漁師の間ではよく知られた伝説の地――を探すことにしたのである。

 彼らは北の方角に舵を切った。「われわれの小さなスループ漁船は」オラフは思い出す。「冒険を求めて前方に跳んでいったのです」。そしてすぐに彼らは荒々しい氷山の中を突き進んでいることに気づいた。

 

 水晶の宮殿、巨大なカテドラル、幻想的な山脈、そういったモンスター級の氷山が果てしなく現れるのです。それらは聳え立つ堅い岩でできた崖のようにいかめしく、歩哨のように身じろぎしませんでした。それらはスフィンクスのように黙って立ち、荒れ狂う海の押し寄せる波にあらがっていました。

 

 嵐がやってきた。何時間も彼らの船はとてつもなく大きな波に揺られ、翻弄された。海面が静まったとき、彼らは緑色の海の中にいた。空は紫色に変わった。氷山はプリズムのように光った。

 船がさらに進んでいくと、羅針盤の針が奇妙な動きを示すことに彼らは気づいた。針は押し上げられてガラス盤にくっついた。また空気が温かくなっていることに気づいた。そして水平線に幻影が現れ、彼らはひどく驚かされた。靄(もや)に覆われた小さな赤い太陽が見えたのである。はるか北方に偽の太陽があるという噂はこれのことだったのか。この幻影はしばらくして消えた、と彼らは考えた。

 しかし航行をつづけると、太陽はゆっくりと空を上ってきた。彼らはそれが幻影でないことを理解した。現実であること――ある種の惑星であること――がわかった。

 ヤンセン親子はスループ船の船倉で昼寝をした。そして父親に起こされたとき、オラフはウトウトしていた。「オラフ、起きるんだ! 陸が見えるぞ」。遠くに植生の緑に縁どられた海岸が見えた。

 数日間、彼らは海岸線に沿って航行した。ついに彼らは川に錨を下ろし、浅瀬を歩き、巨大な木々から木の実を集めた。地球の最北端の地に熱帯林があるとは! どうしたらこんなことが可能だろうか。

 しかしそれはまだまだ序の口だった。歌声が聞こえてきたのである。そして大きな船が航行するのが見えた。その船には歌う巨人があふれそうなほどたくさん乗っていた。

 船は彼らのほうへ近づいてきた。ボートが下ろされ、巨人の一行が――3メートル60センチの背の高さで、ひげを生やし、チュニックを着て、ひざ丈のズボンをはいた彼らが――航海者を調べるため、ボートをこいでやってきた。巨人たちは友好的で、好奇心のかたまりだった。ジェスチャーをかわして意思が通じ合うと、彼らは親子を船に招いた。

 

 


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