ソロモン 地球内部への旅 19 

ガイ・バラード 

 

(1)

 1930年8月、鉱山技師にして霊媒、神智学者のガイ・バラードはシャスタ山へハイキングに行き、絶景を楽しんだ。52歳のバラードは、何かについて熟考したり、決定を下したりするときは、いつもハイキングに出かけたのである。彼はオカルト系の同胞団、すなわち近くに拠点を持つシャスタ山の同胞団についての噂を耳にしていた。できればそれについて学びたかった。

 バラードは水を飲もうと流れのそばで止まった。体験をつづった著書『明かされた秘密』によると、何か存在を感じ、彼は振り返った。背後に立っていたのは若者だった。若者はほほえみながら言った。「兄弟よ、あなたのグラスを手渡してくださったら、泉の水よりも新鮮な水を差し上げましょう」

 バラードはしたがった。見知らぬ若者はクリーム状の液体で満ちたグラスを彼に返した。(注いだわけでもないのに、グラスはすぐにいっぱいになった)バラードはそれを飲み、息が止まるほど驚いた。体内にエネルギーが沸き起こるのを感じたのである。

「あなたが飲んだものは、命そのもののように純粋で、生き生きとした<宇宙の供給>からやってきている」と見知らぬ若者は言い、難解な哲学的なティーチングをはじめた。

 ある程度話したあと、彼は本当の姿を明かした――驚くようなやりかたで。彼の顔、体、衣はそれら自体に(とバラードは主張する)変容し、白い衣を着た人物、すなわち愛の輝きを放つ目を持った天使のような存在になった。バラードは霊媒として得た幻影から認識した、彼こそがアセンデッド・マスター、サンジェルマンであることを。

 サンジェルマンはまた別のティーチングをはじめた。彼はアセンデッド・マスターの本質について、またわたしたち各々のなかの<神自身>について論じた。それから彼はテーマを輪廻に変えた。そしてティーチングは実地の教えとなった。

 バラードは自身が物理的な身体から離脱していることに気づいた。サンジェルマンは彼に腕を巻き、時空のなかを飛び立った。バラードは二つの前世を見せられた。中世のフランスの歌手とエジプトの祭司である。「このような輪廻転生はずっとつづくだろう」とサンジェルマンは言った。「自身の内側の聖なるものと接し、生命の法則を理解することができるまで」

 サンジェルマンはバラードをもとの身体に戻し、滞在しているロッジに送り届けた。そしてバラードの目の前から消えた。



⇒ つぎ