(2)
数日後、バラードはシャスタ山の登山道に戻った。というのも部屋の中にメモを見つけていたからだった。
明朝七時、あの場所に来られたし
――サンジェルマン
そこに着くと、バラードは丸太に座り、待った。彼はランチを用意しなかった。なぜならサンジェルマンを信じ、彼なら<宇宙の源>から必要なものをまかなってくれると考えたからである。
枝の折れる音がした。バラードが見上げると、豹がこちらに忍び寄ってくるのだった。恐怖のあまり彼は身動きが取れなくなった。そのとき、愛の力が自分の中にあることに気づいた彼は、それを豹に向けて集中した。すると獣は横になり、ぐるりと回転した。
一瞬ののち、サンジェルマンは彼のかたわらに立っていた。アセンデッド・マスターは彼が勇気のテストにパスしたこと、そしてさらなるティーチングが受けられることを伝えた。
サンジェルマンはバラードの眉に触れ、彼を<放たれた意識>へと導いた。彼らはともに7万年前にサハラ砂漠に花開いた文明を見た。サンジェルマンが言うには、サハラ王は古代叡智のマスターだった。そしてバラードの前世だった。
サンジェルマンはさまざまなテーマについて話したが、黄金はそのひとつだった。黄金は太陽のエネルギーに満ちているのだと彼は語った。そして交易のための手段であること、装飾品であることは、ささいなことにすぎないという。真の目的は、世界の原子構造を純化し、活気づけ、バランスを取ることだというのだ。そうして人は完全なるものを得ることができる。
バラードはサンジェルマンとのこの二度目の出会いのときにたくさんのことを学んだ。喜びに胸がはちきれんばかりの状態で彼はロッジに戻った。しかし本当に忘れ難い出会いとなったのは、三度目のほうだった。このときバラードは地球の空洞に連れていってもらったのである。
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