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 この続編が出るや、あらたに手紙の洪水が押し寄せた。パーマーはこれがいいところをついているのだと理解した。つぎの三年間、ほぼ毎号、彼はシェイヴァーの物語を掲載したのである。

 物語は事実に基づいている、実際に作者は洞窟世界を訪問し、レムリアの歴史を知ることになったのだとパーマーは主張した。物語はこの歴史から作られたにすぎないというのだ。アメイジング・ストーリーズ誌は人類の初期の歴史を解明するのに一役買うことになった。

 毎号物語が発表されるたびに、レムリアの歴史があきらかになった。要約すると、つぎのような話である。

 地球にはもともと巨人の種族(平均して20フィート、すなわち6メートル余りの身長)が住んでいた。かれらは自分たちをタイタンと呼んだ。タイタン人はほかの惑星からやってきて、二つの大陸、すなわちレムリアとアトランティスに住んだ。かれらはそこで高度な文明を築いた。

 いわば高度なテクノロジーが結実した文明だった。とはいえ、機械類がフルに稼働しても、単純作業の労働者が足りているわけではなかった。そこでレムリア人たちは労働者の種族を養成したのである。一般的な仕事のほか、これら「下僕」はさまざまな役割を果たすことができた。かれらはどう見ても人間のようではあったが、マントン語で労働者を意味する「ロボット」という言葉で呼ばれた。

 レムリア人にとって生活は悪くなかった。敵はいなかった。人生を楽しむことができた。かれらは生き生きとして、見かけも若々しかった。こうした状態は何千年もつづいた。

 しかし牧歌的な時代は終わりを告げることになった。太陽が変化しはじめ、死の光線を放ち始めたのである。病気になり、死亡するレムリア人が激増した。

 かれらが地球内部へ移動したのは、死の光線を避けるためだった。かれらは破壊光線を使ってすでに存在する洞窟を拡大し、また新しい洞窟を作った。これらの洞窟には都市が建設された。こうしてレムリア人の文明は地底の奥深くにふたたび構築された。

 レムリア人たちは新しい家を得て、繁栄を楽しんだ。ところが死の光線はそこまで届き、またしても死者が出るようになった。そこでかれらは地球を捨てる決心を固めたのだった。新しい星を見つけ、そこに移住しようというのである。

 かれらはいくつかの宇宙船に乗り込み、洞窟、都市、テクノロジーの結晶をあとにして宇宙へ旅立った。あとに残したもののなかにはデロも含まれていた。デロとは、レムリア人が戦った「悪しき矮人」のことである。

 デロ人とは正確にはどういう者たちなのか。かれらはレムリア人が育てたいわゆる「ロボット」(robots)と呼ばれる労働者の末裔である。労働者たちもまた、太陽とかれらが従事する機械類の双方から光線を受けていた。かれらは退化して、ついにはモンスターになった。ねぐらで、ペチャペチャおしゃべりをやめない頭のおかしな生きものになったのである。

 レムリア人がいなくなると、デロたちは荒廃した都市をうろつきはじめた。かれらは居住区を作り、洞窟世界の新しい支配者として君臨した。

 シェイヴァーの主張によれば、かれらの生活は静かなものだった。

 しかしシェイヴァーはどうやってそのことを知ったのか。

 彼は洞窟に行ったことがあるのだ。


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