マーガレット・ロジャーズ
(1)
アメイジング・ストーリーズ誌の1946年9月号はD・C・ロジャーズ女史からの手紙だった。テキサス州サンアントニオ在住の読者である彼女はシェイヴァー・ミステリーについて書いていた。
リチャード・シェイヴァーの記憶(?)の物語が現れてからずっと、わたしはその物語を欠かさず読んできました。今日のいかなる人類がそんなにも多くのことを覚えているのか、なおも多くの過ちを犯しているのか、あるいは地下世界の、すなわち洞窟の中のぞっとするようなことばでウソをついているのか、信じがたいことのように思われます。
その知られざる世界のすべては生きている者にとっても、その人々にとっても、理想主義的にはとても美しいのです。しかし事実として、そこの住人のこの上ない思いやりにしか会ったことがないのです。
自分の物語を語ろうと考えたことはありませんでした。というのも気がふれているとみなされ、施設に閉じ込められるのが関の山だからです。
わたしと、もうひとりの人物はよく知っています。すなわち彼女は、わたしが奇妙なふうに消え、三年後に奇妙なふうに戻ってきたことを知っています。彼女は宝石で飾られたとても美しい黄金の箱を持っています。それはわたしが売ったもの……それは大洞窟の人々からの贈り物なのです。
ロジャーズ女史の説明によれば、地上の世界に戻ってきたのは、親族と会うためだった。しかし彼女はすぐに洞窟に戻ろうとしていた。
⇒ つぎ