ソロモン地球内部への旅 22 

ロブサン・ランパ 

 

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近代は神秘的な事柄をテーマとする書き手に不足はないようだ。ブラヴァツキー夫人からサンティーヴ=ダルヴェードル、あるいはドリアルまで、こういった作家たちは太古の知識のうす暗いヴェールを通してわれわれを導いてくれる。彼らは古代の智慧の蔵を開け放ち、体験の境界線上の海をナビゲートしてくれる。しかしながらチベットのラマ、ロブサン・ランパほど多作で、権威があり、エキゾチックな――そしてあやしげな――作家はいないだろう。

 頭を剃り、僧衣らしきものをまとった、射抜くような目つきをしたランパ博士は(重慶医学校から博士号を得たと主張していた)近寄りがたい雰囲気を持つ人物だった。彼はまた神秘的な知識の大きな情報源でもあった。「真の神秘家、ニューエイジの草分け」と目されるランパは、じつにたくさんの本を出版している――ラマとしての修行について、あるいはチベットやその他の場所の探検について、またチベット仏教のオカルト的な実践についての本である。

 これらの本のなかで彼はアストラル旅行(「ほとんどのラマがそれをやっています。多少の忍耐力があれば、どのラマも楽しい、実際的な技法を実践できます」)やテレパシー、千里眼(「わが千里眼能力を使い、さまざまなことにおいて、もっとも深きお方[ダライラマ]のために私はお役に立つことができます」)、アカシックレコード、人間のオーラ(「人々のオーラから私は彼らの考えを読むことができます。何に苦しんでいるのか、希望や恐怖は何か、そういったことがわかります」)、輪廻、死後の生、アトランティス、UFO、空中浮遊、雪男(「わが古い友人です」)、地球空洞などについて述べている。

 本を書いているとき以外は、彼は星占いやタロットをしたり、水晶球をのぞいたりしてすごした。ロブサン・ランパは東洋の秘密の智慧の宝庫であり、それを広める役割を担っていた。またニューエイジの時代の先駆的存在だった。彼は何百万部もの本を売り、それは甚大なる影響をもたらした。剃った頭と射抜くような鋭い眼光でもって、彼は東方の智慧のまさに偶像となったのである。そして――予期されたとおり――彼は賛否両論の論争の的となった。

 

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