チベット奇観 (5) 西チベット・グゲ王宮 Photo:Mikio Miyamoto
ラサ・ポタラ宮やシガツェの王宮(遺跡のみ)と同様、このグゲ王宮(ツァパラン・ゾン)も岩山を利用して作られたものだ。グゲ王国は10世紀にはじまるが、この王宮に穿たれた無数の石窟はシャンシュン王国の時代のものだろう。実際西チベットを中心とした数千、数万の石窟群は、チベット各地で散見されるドリン(巨石遺跡)とおなじく時代が特定できないほど古いもののように思われる。それらは誰によって作られたかもわかっていない。
この岩山内部の石窟エリアへは、頂部の入口からロープを伝って下りていくことができる。電気は通っていないので、頼りになるのは自分の懐中電灯だけ。部屋から部屋へ移っていくと、かすかに光が漏れている。近づくと光は次第に大きくなり、それが窓ガラスのない窓のようなものであることがわかる。岩壁にあいた窓である。そこから外を見ると息を飲むような、茫洋とした光景が広がっていた。
グゲ王宮の岩山の岩壁の窓(穴) から外を覗くと、信じがたい光景が広がっていた Photo:Mikio Miyamoto
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