チベット奇観 (7) 中央チベット Photo: Mikio Miyamoto
純然たる円錐形の山の頂上に足を置いたところ、鋭利なナイフのような先端が足の甲を突き破った……というのはもちろんフィクションにすぎない。富士山のような安定した形の火山は世界中に見られるが、頂上が尖っている円錐形の山はありそうで、ない。
この山も、じつは少し横にすれると、頂上のとんがりが消えて何の変哲もない山に変身する。なぜこの山を見ているのかわからなくなるほど、平凡な山と化すのだ。しかしそうは言っても、見てほしい、雲の形まで山の影響を受けているではないか。やはり「気」の流れのようなものが山の表面にできるのではなかろうか。あるいは遠い古代世界では、一種のピラミッドだったのではないか。そう思ってこの写真をよく見ると、山がだんだんピラミッドに見えてくる……。
Photo:Mikio Miyamoto
このモンブランをさらにデフォルメしたような山はインド北部ザンスカルのスールー渓谷から見える。フリークライマーなら頂上にアタックしたくなるかもしれない。しかし頂上が猫どころかハエの額みたいに狭く、すぐに下りないといけないだろうから、やはり登頂は不可能と言わざるを得ない。
⇒ つづく