チベット奇観 (8) 紫山 チャンタン高原 Photo: Mikio Miyamoto
チャンタンとは北方の平原という意味で、ラサから見ると数百キロ北方に広がるかなり大きな高原地帯である。こうやって車を走らせていると(幹線道路自体が海抜4500メートルの高さ)さまざまな珍しい光景を目にすることになる。この紫色の山もそうだ。たぶん酸化鉄が多いのだろう。
詩的表現ならともかく、実際に紫色の山を見ることはあまりない。さっそくネットで調べてみた。アラスカのパープル・マウンテンはまさに紫山。画像を見ると、美しい景色だけれど、なぜこの名で呼ばれるかはわからない。
中国河北省邯鄲 (邯鄲の夢で有名なあのカンタン)にも紫山風景区というところがある。ここも観光地だが、なぜ紫なのかはわからない。
日本だと仙台に紫山という地名があるが、歴史のある名前ではないようだ。
こうしてみると、紫色の山はとても珍しいということになるようだ。ただしここに来る人はめったになく、名付けられたこともないだろう。
チベット語で紫色はmu menというが、ムメンとは宝石の一種らしく、青金石とか銅藍という中国語訳がついている。
考えてみるとチベットはレアアースの宝庫。チャンタン高原には数十の塩湖があるが(それぞれが琵琶湖なみに大きい)、塩湖の下にはリチウムが眠っていることが多い。実際、リチウムが採掘されていた。採掘現場には労働者のための食堂があり、そこで食事を取ることができた。そこは食堂がある近くの村や町まで数百キロも離れていた。
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