チベット奇観 11 西チベット 化石岩  Photo:Mikio Miyamoto

 2tトラックの荷台くらいの大きさの巨岩は、化石だらけだった。いくつかの化石(両手の手のひらを広げたくらい)が岩の表面に見えるが、その間も化石だらけである。表面だけでなく、岩の中にもぎっしりと化石が詰まっているのだろう。
 古生物学者に聞きたい。まるで海をそのまま化石にしたみたいだが、どうやったらこんなふうになるのか。そしてこういう化石のなかから新種が発見されることはあるのか。昔は海の中だったはずなのに、今、このあたりの海抜は4千メートルを少し越えたくらいだ。西チベットのほとんど人の住んでいない地域の、めったに車の通らない車道から適当に奥に入った岩の多い丘陵地帯で、今後も人目に触れることはなさそうだ。
 数億年単位で生きている化石岩にとっては、私が触れたことも(私は例によって岩を抱擁してみた)、肌に当たるそよ風のようなものでしかなかっただろう。



 近くの別の岩の多い場所で、化石の岩板を見つけた。これが誰かが携帯していた崇拝物であるかどうかはわからない。しかし聖なるものであることは間違いなかった。


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