17 ヴェーダの王たちと古代帝国

 シャタパタやアイタレーヤなどヴェーダ文学は10人から16人の王を挙げている。そのなかにはスダなどリグ・ヴェーダの王も、「海から海を渡り」インドを征服した者として含まれている。
 これらにはヴェーダの人々の土地として西はガンダーラ(アフガニスタン)から東はヴィデーハ(ビハール)、南はヴィダルバ(マハラシュトラ)まで、海洋も西から東までをその版図に数え上げる。
 ヴェーダに描かれる土地の広さは他のいかなる古代の文学に描かれるものより広いだろう。どう考えてもヴェーダは限定されたローカルな文化でもなければその土地を知らない新参者でもなかった。彼らが言及する土地はヨーロッパからバルト海、あるいは地中海、またはスペインからポーランドまでの広大なものだった。

 これらの箇所は侵入説にとらわれていた19世紀の学者から完全に無視されていた。彼らはインドに大帝国があったという証拠はないと主張した。とはいえ考古学的な証拠が十分でなかったのだ。
 しかしハラッパーからブラーフマナ中に言及される遺跡が見つかっているいま、もっと真剣にとりあげるべきではなかろうか。これらの人物は偉大なる王なのか、またハラッパー(サラスヴァティー)文化の肯定なのか。このような広大な文化は古代の王の記憶をなくすということはないだろう。



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