モン族(ミャオ族)ディアスポラ
ラオスを脱出し、米国に難を逃れたボートピープルの大半はモン族(ミャオ族)だった。安住の地となるはずの米国でそんな彼らを待ち受けていたのは、突然死症候群だった。
彼らの悲劇はじつは5千年前の中国中原に始まっていた。漢族(華夏族)との戦いに敗れたモン族の祖先は南下し、貴州や湖南に定住する。しかしそこでも何度か反乱を起こしては民族浄化ともいえる激しい弾圧を受けた。
彼らは追われて東南アジアにまで移動するが、そこでも虐殺の憂き目に遭うのだった。現代ラオスでは米CIAに協力し、そのため自らに悲劇を招くことになった。これほどの不運つづきの民族がほかにあるだろうか。
普通の人と比べていくらか多くの民族と接してきた私の感覚から言えば、モン族は「日本人的」と思わせる人々である。水稲にまつわる文化や習慣が似ているせいだろうか。女性の髪の結い方ひとつとっても、昔の日本人の結い方を偲ばせる。
電車の向かい側に坐っている女の子を見て「モン族タイプだな」と思うことがよくある。日本人の一部の小柄な女性は、モン族の女性と雰囲気が妙に似ているのだ。
こういったことは思い過ごしかもしれないが、知られざる歴史のどこかの時点でモン族の祖先が日本列島に到達したのではないだろうか。もしそうなら、モン族の悲運は他人事でなくなる。
目次
1 モン族突然死症候群
2 歴史は繰り返す
3 モン族はシベリアからやってきた!?
4 神話が語るモン族の先祖
5 蚩尤(しゆう)、九黎、三苗はモン族の先祖か
6 楚王曰く、我は蛮夷なり
7 屈原ら楚人はミャオ族だった
8 年表:ミャオ族(モン族)の反乱と迫害の歴史
五渓蛮の乱、清水江苗、三穂苗の乱、嘉慶や咸同の反乱、
白象事件、ベトナム・バッチャイの乱、海南島苗の虐殺etc
9 CIA秘密戦争の主役はモン族だった
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「モン王国」(紀元400〜900頃)推定版図