古代チベットとペルシア文明
編訳 宮本神酒男
<目次>
イントロダクション
上編 シャンシュンとペルシア
1 考古学を手がかりに
(1)考古学的視点
(2)アーリア人とサカ人(スキタイ人)の移動と影響
(4)チベット高原南西部のイラン系民族
2 シャンシュンとその位置
(1)中国の史書における羊同
(2)シャンシュン、羊同の意味と女国との関係
(3)チベット語文献中のシャンシュン
3 ペルシア文明とシャンシュンの関係
(1)色とりどりのペルシア文明
(2)ペルシア帝国の東の境界
(3)ゾロアスター教の起源地と初期の伝播
(4)アレクサンドロス大王の東征
(5)ペルシア帝国とシャンシュンの関係
4 ユンドゥン・ボン、タジク起源説
(1)ボンとボン教
(2)タジクはペルシア
(3)ユンドゥン・ボンはタジクから来た
(4)ボン教開祖シェンラブ・ミボ
(5)ボン教聖地オルモルンリン
(6)ボン教とシャンシュン及び吐蕃の原始宗教との関係
(7)タジク天書
5 ユンドゥン(卍)と吉祥の数詞
(1)ボンの意味、諸説
(2)ボンはペルシア語起源か
(3)ユンドゥン(卍)とボン教の関係
(4)ボン教の吉祥の数詞
6 古代語新釈
(1)シェン(gshen)とサナヴィー(sanavee)
(続)ペルシアの語源
(2)ム(rmu)とマグ(magh)及びモグ(mogh)
(3)ツェン(btsan)、ティ(khri)、ナム(nam, gnam)
(4)デ(lde)、ツグ(gtsug)、オセル(vod zer)
7 ボン教とペルシア・ゾロアスター教の密接な関係
(1)共通する宗教の聖地
(2)二元論の核心
(3)類似した創世神話
(4)似た修行法と葬送の習俗
下編 吐蕃とペルシア
1 ボン教古代伝説とゾロアスター教の影響
(1)チベット人の古代神話
(2)ボン教の古代神話
(3)ボン教古代伝説と高原以西の関係
1 ニャティ・ツェンポ降臨神話
2 ディグン・ツェンポとロンガム・タヅィの伝説
3 吐蕃の仏教伝来伝説
2 ゾロアスター教と中央アジアのその他の宗教の伝来
(1)ゾロアスター教はいつ吐蕃にやってきたか
(2)吐蕃のマニ教信仰
(3)景教(ネストリウス派)伝来の手がかり
(4)仏教が中央アジアから伝来した形跡
(5)吐蕃のイスラム教寺院と信者
3 双方から見た相手方
(1)古代ペルシアとモスレム作家の描く吐蕃
1 位置と資源
2 人種、民族と政治
3 社会経済と民俗
(2)吐蕃人が記載するペルシア、タジク
4 吐蕃とペルシアの軍事衝突と交易
(1)吐蕃とペルシアの間の道
(2)吐蕃とタジクの連合と対立
(3)交易の物品と貨幣
(4)中央アジアと西アジアで流行ったチベット産麝香
5 吐蕃に入ったペルシア文明
(1)ペルシアとタジク医学
(2)ペルシア錦と服飾
(3)ペルシアの図案と装飾
(4)ペルシア起源のもの
6 ポロの起源と伝播
(1)ポロの伝播、諸説
(2)ポロはいつ吐蕃に伝来したか
(3)吐蕃のポロ競技
7 古代チベットとペルシアの古俗
(1)一妻多夫の習俗
(2)葬送風俗
(3)軍神と魔物
結論
参考資料
1 チベット語文献
2 漢語資料と文献
(1)漢語資料
(2)漢語文献
(3)漢訳文献
3 外国語資料及び文献
典型的なペルシア型の岩絵(チラース)
ボン教開祖
トンバ・シェンラブ・ミボ
猛獣(獅子)が動物を襲う図。
スキタイ風の岩絵(チラース)
岩絵のスワスティカ(スピティ)
ボン教のスワスティカ
(チベット語でユンドゥン)
ガンダーラのスワスティカ。
紀元前後の化粧皿
ガンダーラの弥勒(マイトレーヤ Maitreya)はペルシアのミトラ神(Mithra)か
バルチスタン・サトパラ湖近くの謎多い磨崖仏。左右は弥勒。中央はブッダ
磨崖仏の岩に残るチベット語の碑文。摩滅が進み、解読は一部のみ
描かれたタジクのオルモルンリン。本当にペルシアにあったのだろうか