アレクサンドラ・ダヴィッド・ネールのケサル王物語

アレクサンドラ・ダヴィッド=ネール伝 文豪ユーゴーの膝の上で遊んでいたパリ生まれの女の子は、冒険好きの少女になり、家出して英国に渡ったり、スイスまで歩いたりした。無政府主義者ルクリュの影響を受ける一方で、神智学協会でブラヴァツキー夫人と会い、インドにいざなわれた。またオペラ歌手としてハノイの舞台に立ち、チュニジアでは未来の夫と出会った。インドでは亡命中のダライラマ13世、シッキムでチベット人修行僧、そして半生をともに生きる少年僧ヨンデンと運命的に出会う……。

目次(あらすじ)

Alexandra David-Neel & Lama Yongden "The Superhuman Life of Gesar of Ling"からの翻訳 

前言> チョギャム・トゥルンパ 


<イントロダクション> 
1 ケサル王物語の背景 2 パドマサンバヴァの役割 3 叔父トドンの重要性 4 悪魔 
5 ラーマーヤナの影響 6 北京のケサル王像 7 ケサル王はモンゴル人? 
8 ケサルの子孫であるリンの国王と会う 9 ジェクンドで会った語り手 
10 ケサルの再来とシャンバラ伝説 11 翻訳の苦労 

<プロローグ>

1 悪魔の起源。悪魔との戦いがケサル物語の主要テーマ。
  ボーディサットヴァ(菩薩)、慈悲深い母、不信心の娘。(本文

2 パドマサンバヴァが悪魔の転生をはばもうとする。しかし不成功に終わる。
  神々は集会を開く。神のひとりがケサルとして転生し、悪魔と戦う。そのための準備。
  (本文) 


1 (本文
■パドマサンバヴァは海にもぐり、未来のケサルの母を探すため、ナーガの国へ行く 
■母、地上へ 
■母、リン国王のテントで召使いとして働く 
■国王、彼女に恋をする 
■王妃の嫉妬 
■ナーギー(竜女)を殺そうとする 
■神々がナーギーのもとに降り、魔法の薬を飲ませる 
■多くの神々、またケサルの奇跡的な誕生 
■トドンと王妃は英雄を殺そうと謀る 
■偉大なる魔術師の呪術 
■子供のケサルがいかにして自身を守るか 
■呪術師が幽閉される 
■ケサルと母は砂漠を放浪する 

2 (本文) 
■パドマサンバヴァはケサルの記憶を呼び起こす 
■英雄による策略 
■トドン、だまされる 
■競馬 
■ケサルの結婚 
■マギャルプムラに隠された宝を手に入れる 

3 (本文) 
■ムテクパ(外道)の魔術師たちの国でのとてつもない冒険 
■ケサルは彼らを滅ぼし、彼らが独占していた尊い薬を確保する 
■ケサルは奇跡的に首長の娘を救い、王妃としてインドの国王に贈る 

4 (本文
■ケサルはルツェン王を殺すべく「北の国」へ向かう 
■ルツェンの妻は夫を裏切り、ケサルを助ける 
■ルツェンを殺す 
■妻、ケサルに恋をする 
■ケサルも彼女の魅力のとりこになる 

5 (本文) 
■チェンレシグ(観音)、ケサルを「北の国」にとどめさせていた恋の魔法を解く 
■ケサル、リン国に向けて出発 
■ホル人によって殺された友人ギャツァの亡霊と出会う 
■英雄ケサルは、トドンの裏切りによってホル人がリン国を侵略し、セチャン・ドゥグモが略奪されたことを知る 
■ケサルは父センロンと母のナーギーが裏切り者トドンによって奴隷の地位に落とされていることを知る 
■ケサルは三人の魔王と戦うため、そしてリン国の復讐のため、ホルに向けて出発する 

6 本文 
■ケサルと家来たちはホルの領域に達する 
■行く手を魔牛にはばまれるが、神々の助けによって魔牛を殺す 
■ケサルの妻の不貞 
■トドンは欲に目がくらみ、悪魔に捕えられる 
■ケサル、128人の船頭を沈める 
■幻影の隊商 

7 本文 
■幻影隊商消える 
■山積みのお茶の葉のなかに少年発見 
■少年、鍛冶師の養子となる 
■少年の人並み外れたふるまい 
■魔術の人形 
■ケサル、ホルの守護神をたたきのめす 
■スポーツ祝祭の悲劇的な終末 
■鍛冶師の娘、父親のもとで修行しているのがケサルであることを見抜く 
■英雄ケサルはほんの一瞬、彼女に本来の姿を見せる 
■国王クルカルの命によって、若い鍛冶師は森で捕えた虎を連れてくる 
■虎によって宮殿のなかは大パニック 
■虎、総理大臣を食べる 
■クルカル、虎を森へ返すよう若い鍛冶師に命じる 

8 本文 
■クルカル、ラマの占い師に哀願する 
■扮装したケサル、ラマのパワーを試す 
■見破られた英雄ケサルは占い師を殺す 
■占い師になりすましたケサルはクルカルと会い、偽りの予言を示す 
■彼は国王に、戦利品として宮殿の壁に吊るされたギャツァの首を持ってくるよう命じる 
■長生きが保証されると信じ、クルカルは護符をささげる 
■ケサルの天界の友人たちが彼を助けるため鍛冶師となる。鍛冶師の首領チュタは好奇心から片目を失う 
■ギャツァの首を埋葬しようとしたホル人たちは土砂崩れのために死んでしまう 
■トブチェンは悪魔によって岩に張り付けにされる 
■インド人曲芸師からケサルが死んだことを知らされ、ドゥクモは喜ぶ 
■ホルの神々の幻が現れる 
■山上における神々の驚異的なダンス 
■ケサル、クルカルを殺す 

9 本文 
■不貞の妻ドゥクモは、ディクチェンとともにケサルの温情を求めてリン国へ向かった 
■英雄ケサルは彼らをホルに戻したが、それには狙いがあった 
■ホルの山上の神々のフェスティバル。祭司や信心深い人々が雷に打たれる 
■ケサルはクルナクとその家臣たちを助けてやる 
■彼らは今日まで生きている 
■ケサルはドゥクモと愛人クルカルとのあいだにできた男の子を殺す 
■ディクチェンとトドンは言い争い、戦う 
■ディクチェン、罪のつぐないをする 
■ケサルは彼をホルの国王として擁立する 

10 本文 
■国王サタムの夢 
■彼はリン国の征服を願う 
■災難はほら貝製の馬の像がもたらすとされた 
■嵐がやってきたとき、愛妃が部屋から外へ飛ばされる 
■サタムは蘇生を願って愛妃の遺体とともに部屋の中に閉じこもった 
■ディクチェンはサタムの長男を連れ去る 
■見えなくする魔法の杖 
■サタムの兄弟が空中に持ち上げられ、飛ぶ馬によって殺される 
■ケサルは鉄の翅をもつ蜂に姿を変え、サタムの体内に入り、サタムを殺した 
■英雄ケサルは彼自身とおなじ強さをもつ好敵手と会い、毒湖のほとりで戦った 
■サタムの城を奪い、なかの人を全員殺した 
■ケサルはサタムの長男をジャン国の王として擁立した 
■ケサルは13年間の隠遁生活に入る 

11 (本文) 
■ケサルは南の国の王シンティに対する侵攻を開始した 
■大臣クラは生きたまま皮をはがれた 
■ケサルの兵士たちはシンティの城に火を放った 
■シンティは魔法の梯子によって天界へ逃れようとする 
■ケサルは弓を放ち、梯子を断った 
■シンティの娘は奇跡的に燃え盛る城塞の上を飛んで脱出した 
■ケサルはシンティの財宝を取得する 
■ケサルは若き王女をトドンの息子と結婚させた 

12 (本文) 
■93歳という老齢にもかかわらず、トドンは若い妻を欲しがった 
■そのために彼はタジクの王の青い馬を盗んだ 
■婚礼の宴が行われているとき、タジク王のスパイがトドンの屋敷に侵入した 
■酔っぱらったトドンは窃盗のことを自慢する 
■タジクはトドンを罰するため、兵士を送った 
■臆病者のトドンはひっくり返った大鍋の下に隠れた 
■彼は発見され、鞭打たれ、ばらばらの刑が宣告された 
■彼は処刑を免れるため、ケサルをタジク王に売ろうとした 
■リン国の兵士たちは大義のない戦いを拒絶した 
■神々が支援するという約束と征服欲によって彼らの心は変化した 
■隠者は光り輝くものに変身した 
■彼の修行洞窟から火が発せられ、タジクの要塞を炎の湖が取り囲んだ 
■ケサルは魔術的な皮で火を消した。この皮は生きたまま皮をはがれたクルの皮だった 
■ケサルの勝利。タジクの軍隊を殲滅 
■ケサルは財宝が保管されている山上の宮殿へ行く 
■その途上でトドンは何人かの若い娘を追いかけている。彼女らは悪魔の娘だった 
■彼女らの親に捕えられ、トドンは塩の箱に閉じ込められる。それは悪魔に食われるのだ 
■ケサル、トドンを助ける 
■英雄ケサル、タジクの寡婦となった王の妻を王妃とする 
■ケサルはタジクの財宝を持ち帰り、遠征に参加した兵士たちに平等に分配した 

13 (本文) 
■ケサルの最期 

第14章 (本文) 
■チベットの砂漠での会話 (ダヴィッド=ネールの後記)